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GLP-1ダイエット薬は日本で認可されてる?
「ダイエット」と「健康」、どちらも多くの人が望む存在です。もし、これらを一気に獲得できる近道となるホルモンがあるとすれば、多くの人がそれを利用したいと思うはずです。そこで、そのようなホルモンである「GLP-1」について解説します。
■GLP-1の基本情報
GLP-1は、血糖値を下げるホルモンである「インスリン」の分泌に深く関わっているホルモンです。
〇GLP-1とインスリン
GLP-1は、食事により血糖値が上昇すると小腸から分泌されます。分泌されたGLP-1は膵臓にあるGLP-1の受容体に結合して、インスリンを分泌させます。つまり、GLP-1はインスリンの分泌を促すホルモンなのです。
〇GLP-1受容体作動薬
GLP-1は体内で分泌されるホルモンですが、「GLP-1受容体作動薬」という形で体の外から取り込むことができます。GLP-1受容体作動薬は、「2型糖尿病」の治療に用いられている注射薬で、インスリン分泌により血糖値を下げる目的で利用されています。
■GLP-1がダイエットや健康に及ぼす効果
GLP-1は、実はダイエットにも有効なホルモンであるということが注目されています。
〇血糖値を上がりにくくして太りにくくなる
GLP-1がダイエットに効果的として注目されているのは「血糖値の急上昇を抑える」という働きが深く関わっています。血糖値は、ダイエットにおいて天敵とも言える存在です。これは、食事による血糖値の上昇が、体内においてどのような結果をもたらすかを理解する必要があります。
私たちが食事をすると、否応なしに血糖値が上昇します。血糖値が高くなるとインスリンが分泌され、各細胞にエネルギー源として血糖を送り込みます。
この時、細胞に十分量の血糖を送り込んでもまだ血糖値が高い場合、残った血糖は同じくインスリンによって脂肪細胞に送り込まれてしまいます。これが蓄積することによって脂肪が溜まり、肥満をもたらすのです。
GLP-1はインスリンの分泌を促しますので、血糖値を下げる作用が高まります。ところが、それだけでは脂肪細胞への送り込みを止めることもできないので、肥満を促すのではないかと思われるかもしれません。
しかし、GLP-1には他にも血糖値に関するいくつかの働きがあります。1つ目は「グルカゴンの分泌抑制」です。グルカゴンは血糖値を上昇させるホルモンであり、その分泌を抑制することによって血糖値の上昇を抑えます。
2つ目は「食欲の抑制」です。GLP-1には満腹中枢を刺激するという作用があり、これにより食欲が低下します。自然と食事量を減らすことができるので、糖の摂取量を減らして血糖値の上昇を抑えるのです。
3つ目は「腸の運動の抑制」です。GLP-1は腸の運動性を低下させることにより、消化吸収における食べたものの腸の移動速度が低下します。結果、消化吸収に時間がかかることになり、血糖値の急上昇を抑えることができます。
このように、GLP-1はさまざまな臓器に働きかけることにより、血糖値の急上昇を抑えることができます。結果、インスリンの働きによる血糖の分配が行われた後に血糖が残らなくなり、脂肪細胞への蓄積が抑制されることで太りにくくなるのです。
〇血糖値の低下は健康に深く関わる
血糖値が急上昇しないことにより、脂肪が付きにくくなるということは、ここまででご理解いただけたと思います。しかし、血糖値が急上昇しないことは、ダイエット以上に「健康」に深く関わっています。
「糖尿病」という病名を聞いたことがあると思います。糖尿病には「1型」と「2型」があり、どちらもインスリンが深く関わっています。糖尿病患者さんの大半が2型なのですが、血糖値が高い状態が長く続くことでインスリンの効き目が悪くなり、高血糖状態が長続きしてしまうのが糖尿病です。
糖尿病になると何がよくないのかと言えば、さまざまな「合併症」の問題が挙げられます。糖尿病、つまり高血糖状態が長く続くと体中の血管が傷ついてしまい、さまざまな病気の引き金になるのです。「糖尿病性腎症」「糖尿病性網膜症」「糖尿病性神経障害」といった、全身のさまざまな臓器に悪影響を及ぼし、糖尿病性腎症を原因として多くの人が人工透析を受けています。
糖尿病は完治させることが難しく、生活の質を著しく下げることになります。そうならないためにも、インスリンの分泌を促し、血糖値の急上昇を抑えることができるGLP-1の働きは、健康的な生活のためにも重要な存在なのです。
■食べ物でGLP-1を増やそう
GLP-1を増やすことでダイエットや血糖値低下を目指すのであれば、「食事(食べ物)」に注目する必要があります。
〇GLP-1が持つ1つのジレンマ
元からGLP-1が多ければ、それだけ痩せやすい土台が築かれているということです。ですが、世の中そう甘い話はありません。それは、GLP-1が持つ特徴が深く関係しています。
実は、GLP-1は肥満傾向にあるほどに分泌量が少なくなります。逆に、痩せるほどにその量は増えるのですが、GLP-1により痩せたい人(=太っている人)ほど必要なはずのGLP-1は、その人達には少ないというジレンマがあります。
ダイエットにGLP-1を利用したいと思うのであれば、積極的に増やそうとしなければならないのです。そのために必要なのは、GLP-1が分泌される小腸に関係する「食事」を見直すことです。
〇GLP-1に「サプリ」は無いのか?
ここで気になっている人が多いと思いますので、「サプリ」について少し触れておきましょう。糖尿病治療としても利用実績のあるGLP-1は、サプリを利用することで豊富かつ手軽に摂取できるのではないかと考える人が多いと思います。もしそうであれば、お金はかかるにしても確実にGLP-1を生活に組み入れることができるでしょう。
ですが、やはり甘い話はないです。前述のとおりGLP-1は医薬品として存在していますが、医薬品である以上これは医師の処方がなければ入手できないので、サプリのようにドラッグストア等で購入することはできないのです。直接的かつ手軽に、とはいきません。
〇GLP-1が増える食べ物とは?
GLP-1が増える食べ物は、特定の栄養を豊富に含んでいる食べ物が該当します。必要な栄養は以下の3つです。
・乳酸菌
・食物繊維
・EPA
まずは「乳酸菌」です。以前から腸内環境を改善する効果が注目されている乳酸菌は、腸内環境の改善によりGLP-1の分泌を促す効果を期待できます。ヨーグルトなどの発酵食品から摂取しましょう。
次に「食物繊維」です。食物繊維も腸内環境を改善しますが、消化されにくいという特徴により小腸を刺激することが、GLP-1の分泌を促すとされています。野菜や豆類から摂取しましょう。
最後は「EPA」です。青魚に多く含まれている栄養として知られているEPAは、摂取することでGLP-1の分泌を促すとされています。サバ缶など青魚の缶詰でもEPAやDHAは摂取できますので、魚の調理が苦手な人でもEPAの摂取は難しくありません。
〇GLP-1のサプリは無いけれど…
前述のとおり、GLP-1にはサプリが存在しません。しかし、ここに挙げた3つの栄養はサプリが市販されているので、摂取が難しい栄養があればサプリの利用も検討してください。
〇GLP-1を減らす食べ物は?
「GLP-1を増やす食べ物」があれば、逆に「GLP-1を減らす食べ物」があってもおかしくありません。GLP-1を減らす可能性がある食べ物は「甘い物」と「アルコール」です。これらの食べ物は腸内環境を悪化させることによって、GLP-1の分泌を阻害する可能性があります。過剰摂取には十分注意してください。
■どんな人がGLP-1に注目すべき?
GLP-1は有用なホルモンであることがわかりましたが、どんな人がGLP-1に注目すべきなのでしょうか?
〇痩せたい人
GLP-1は、糖が脂肪として蓄積されるのを抑えることができます。その特性上、痩せたい人にとってGLP-1は非常に優秀な働きをしてくれることでしょう。
ただし、GLP-1を利用することでそのまま痩せられるというわけではありません。GLP-1がダイエットに適しているのは「血糖値の急上昇を抑えられる」「食欲を抑えられる」ことによります。そのため、暴飲暴食や運動不足のまま痩せられる、夢のようなホルモンというわけではありません。
とは言え、今までよりは楽に痩せられる可能性が高くなります。これからダイエットを始めようとしている人、今ダイエットの真っ最中だという人は、積極的にGLP-1を増やす食生活に切り替えることをオススメします。
〇血糖値を抑えたい人
GLP-1は、インスリンやグルカゴン、腸や満腹中枢に働きかけることによって血糖値の急上昇を防ぐことができます。そのため、ダイエットは気にならない人でも「血糖値」が気になる人にとって有用なホルモンであるといえます。
前述のとおり、血糖値が高くなると血管にダメージが及び、昨今では血糖値の急上昇により発生する「血糖値スパイク」が注目されています。さまざまな臓器に働きかけることで血糖値の急上昇を抑えられるGLP-1は、糖尿病予防や糖尿病治療(2型糖尿病)において重要な働きをしてくれることでしょう。
〇健康志向の人
ダイエットや血糖値など、気にならない人でも「とにかく健康になりたい!」というのであれば、やはりGLP-1は利用すべきです。GLP-1はさまざまな臓器に働きかけ、健康にも少なからず寄与することになります。太りにくく、血糖値が上がりにくく、他にもさまざまな効果が期待できるGLP-1を利用することは、健康志向の人にとって無視できない存在だと思われます。
■GLP-1のリスクについて
ここまで、いかにGLP-1が優秀なホルモンであるかについて解説を進めてきました。最後に、そんなGLP-1にリスクが存在するのかについて解説したいと思います。
〇基本的にノーリスク
GLP-1を利用することで、人体に何か悪影響を及ぼすのかと言えば、基本的にノーリスクであるといえます。問題があるとすれば「血糖値を下げる」ことで、これは「低血糖」のリスクを匂わせます。
前述のとおり血糖は細胞のエネルギー源であり、血糖値が下がるということは細胞のエネルギー源が不足するということです。これによりさまざまな症状を引き起こすのが「低血糖」です。
しかし、実はGLP-1には「血糖値が低いと作用しない」という特徴があります。血糖値が高い状態だと作用してインスリンの分泌を促しますが、血糖値が高くないとこの作用は働かないのです。
血糖値が低い状態で血糖値を下げられると低血糖になりますが、血糖値が高い状態であれば低血糖になるまで血糖値が下がる心配はありません。低血糖を心配されている方は、安心してGLP-1を利用することができます。
〇治療には副作用がつきもの
ただし、ノーリスクなのはあくまでも「自然にGLP-1を増やす場合」であり、そうでない場合、つまり治療目的で人工的にGLP-1を取り込む場合にはその限りではありません。糖尿病や、一部の肥満治療目的(アメリカでは認可済み)で「GLP-1受動体作動薬」を利用する場合には、「副作用」のリスクが伴います。使い始めの際には、吐き気や下痢などの胃腸症状が発生することがありますが、使用する中で多くのケースでは症状が落ち着いてきます。
低血糖に関しては、基本的に問題ありません。ただし、インスリン注射やSU薬などを併用する場合には、低血糖のリスクを考慮する必要があります。
治療の上で、なんらかの副作用が伴うことは仕方のないことだと考える必要もあるでしょう。問題なのは副作用が発生して、それを放置することです。治療方針や継続のぜひを問うためにも、副作用が発生した際には担当医にきちんと報告しましょう。
■GLP-1ダイエット専門医のまとめ
